1.IPOでは次の3つの基本視点がポイントとなります
⑴株式上場における基本的視点
株式上場においては、会社が持続的な成長を続けていくために、組織的な経営の仕組みが求められます。人事労務に関しても諸制度が整備され、「組織的な運営体制」が構築されているか、がポイントとなります。
具体的には、「従業員の就業制度」・「給与制度」・「評価制度の諸制度」が整備され、運用ルールとして「明文化(規程化)」され運用されているか、また「従業員の採用方針」や「教育研修制度等の整備状況」が審査されます。
⑵人事運営の状況
直前2期の「従業員の異動状況(採用、退職、退職事由等)」に加え、「管理職の退職状況」とその理由等が審査されます。退職者が著しく多い会社は、安定的な会社運営に支障をきたすものとみられ、特に組織的な運営に大きな役割を果たす「管理職の退職」が多い会社は、常に組織に不安定要素を抱えている状況と評価されるでしょう。
⑶法令遵守の状況
法令遵守の徹底は、上場企業として当然に要請されるものですが、平成27年電通事件最高裁以降は法改正も世間的意識も非常に注目され、近年では最も重視されているものの1つが「労務面での法令遵守」の状況です。
近年,労務問題が顕在化しやすくなっている背景があることから、上場審査においても労務の法令遵守が注目され、それに伴って対応すべき基準も厳しくなっているといえます。