文書作成日:2024/07/23
多くの企業で、従業員がメンタルヘルス疾患を発症し、欠勤や休職をするケースが増加しています。その中には、仕事による強いストレスがその原因となっている事例もあるようです。2024年6月に発表された厚生労働省の資料によると、精神障害を理由とした労災の請求件数、そして支給決定件数が大幅に増加しています。そこで以下では発表された資料の内容を確認した上で、企業に求められる対策について見ていきます。
[1]精神障害の労災補償状況
精神障害の労災補償状況は図のとおりとなっています。2023年度の請求件数は3,575件で、前年度の2,683件から892件の大幅増加となりました。請求件数は過去最多となり、今回、3,000件を初めて超えています。
また、支給決定件数については883件となり、前年の710件から173件の増加となり、こちらも過去最多となっています。そして、支給決定件数の中で、多い業種(中分類)の上位4つをみてみると、社会保険・社会福祉・介護事業112件、医療業105件、総合工事業57件、道路貨物運送業56件で、医療・福祉の業種で多いことが分かります。認定率については34.2%で、申請の3件に1件の割合で労災として認定されています。
※図はクリックで拡大されます。
[2]具体的な出来事
支給の決定は、その傷病に繋がる具体的な出来事があったかを確認して判断されますが、支給決定の内容を具体的な出来事別に分類すると、その上位は以下の通りとなっています。
支給決定件数(883件)のうち、上司等からのパワーハラスメント(157件)がトップとなっています。近年は多くの企業でパワーハラスメント防止対策が進められていますが、この問題はまだまだ解決には至っていません。定期的に研修を開催したり、管理職同士で注意しあえる関係を作ったりするなど、継続的な防止対策が求められます。
■参考リンク
厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。