2024年1月から開催されている労働基準関係法制研究会では、労働基準法を含む法改正の検討が進められています。2024年11月12日に行われた第14回会合では、「議論のたたき台」となる資料が取りまとめられ、公開されました。この資料を基に今後さらに議論が深められ、年度内には報告書が提出される見込みです。
労働基準法における「労働者」や「事業」の定義、そして労使間のコミュニケションの在り方については、依然として課題が整理されている段階のようです。一方で、労働時間法制に関しては、以下のように具体的な検討項目が示されています。
労働時間法制における主な検討事項
1. 実労働時間規制の強化
(1)時間外・休日労働の上限設定
時間外労働や休日労働の上限について、新たな規制案が議論されています。
(2)労働時間情報の開示義務化
企業が従業員の労働時間に関する情報を公開する必要性が検討されています。
(3)柔軟な働き方の促進
テレワクやフレックスタイム制などの柔軟な働き方における新たなルル(コアデイ設定など)が検討されています。
(4)週44時間特例措置の見直し
一部業種で適用されている「週44時間労働」の特例措置撤廃が議論の対象です。
(5)管理監督者等への健康配慮
実労働時間規制の適用外とされる労働者に対して、健康管理や福祉の観点からの措置が求められています。
2. 労働からの解放に関する規制
(1)休憩時間の見直し
労働者が適切な休憩を確保できるよう規制が議論されています。
(2)連続勤務の制限と法定休日の設定
13日以上の連続勤務を禁止する規制案や、法定休日を具体的に定めるルルの強化が検討されています。
(3)勤務間インタバルの導入促進
労働者の休息時間を確保するため、勤務間インタバル制度の義務化が進められています。
(4)有給休暇取得のルール改善
育休復帰時の時季指定の問題や、年次有給休暇の賃金支払方式の見直しが課題として挙げられています。
3. 割増賃金に関する規制
(1)割増賃金の目的再確認
割増賃金の制度趣旨について整理が進められています。
(2)副業・兼業における通算ルルの見直し
副業や兼業の際の割増賃金計算ルルについて、通算規定の撤廃が検討されています。
今後の議論の焦点
労働時間法制における具体的な検討項目が示された一方で、労使間のコミュニケションの在り方については、今後の議論が注目される分野です。厚生労働省は「約40年ぶりの労働基準法改正」を目指しており、その方向性は今後の労働環境に大きな影響を与えることになるでしょう。
今後の研究会の進展や報告書の内容に注目し、労働者と企業双方がより良い労働環境を構築できるよう、最新情報を追い続けていくことが重要です。
労働基準関係法制研究会 (議論のたたき台) 001330213.pdf