最高裁判所第三小法廷(今崎幸彦裁判長)は4月16日、事業場外みなし労働時間制における「労働時間を算定しがたいとき」が争点となった裁判で、適用否定した二審判決を破棄し、審理を福岡高等裁判所に差し戻した。適用を認めない根拠とした業務日報について検討が不十分としている。
裁判は、外国人技能実習の監理団体を営む協同組合グローブ(広島県福山市)で働く労働者が起こしたもの。労働者は受入れ企業を訪問し、実習生の通訳、相談や受入れ企業を指導する業務に就いていた。業務に従事するに当たって、同法人の指示は基本的になく、受入れ企業訪問スケジュールも労働者の裁量に委ねられていた。
二審の福岡高裁は、業務日報によって同法人は比較的詳細な業務の遂行状況の報告を受けていたと評価。海外出張業務を除く国内での業務について、「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとして、残業代支払いを命じていた。