2023年10月24日、帝国データバンク(TDB)は船井電機が東京地裁から破産手続き開始決定を受けたと発表しました。船井電機は、2023年2月に設立された比較的新しい企業ですが、その前身は1961年設立の船井軽機工業で、北米市場をはじめ、テレビや音響機器、情報通信機器など幅広く事業を展開してきました。国内最大手の家電量販店ヤマダデンキとも提携し、「FUNAI」ブランドの液晶テレビを独占販売するなど、国内外での認知度が高い企業でした。しかし、このような長い歴史と多くの実績があっても、破産に至る企業は少なくありません。そこで、会社が破産した際、従業員の賃金や退職金がどのように保護されるのかが大きな関心事となります。本記事では、破産手続き時に賃金がどのように扱われるのか、社会保険労務士の視点からわかりやすく解説します。
1. 会社が破産した場合の賃金はどうなる?
会社が破産手続きを開始すると、基本的に業務を継続することができなくなり、従業員への賃金支払いも停止される可能性が高くなります。破産手続きでは、まず会社の資産を整理し、残りの資金を債権者に分配する流れとなりますが、従業員の賃金債権は「優先的債権」として扱われるため、他の債権に比べて支払われやすい特徴があります。破産管財人が資産を管理し、売却などで得られた資金を配分しますが、その中で未払い賃金は高い優先順位で支払われます。
2. 未払い賃金の請求方法
破産手続きにおいて未払い賃金の請求は、個々の従業員が対応する必要がありますが、「未払賃金立替払制度」を活用することで一部の賃金を速やかに受け取れる場合があります。この制度は、労働者健康福祉機構が運営しており、破産や民事再生手続きが開始された企業の従業員が、未払いとなっている賃金を申請し、条件に該当すれば上限額まで支払われる仕組みです。具体的には、未払い賃金のうち、退職日から2年以内のものが対象となり、申請手続きを行うことで早期に立替金を受け取ることが可能です。
(未払賃金の立替払制度の概要 001281250.pdf )
3. 社会保険労務士が教える賃金回収のポイント
未払い賃金の回収にあたっては、早期に破産管財人や労働者健康福祉機構へ申請手続きを行うことが重要です。賃金債権は他の債権よりも優先されますが、全額支払われないケースもあります。そのため、給与明細や労働契約書などの証拠をしっかりと準備し、賃金債権の証明ができるようにしておくと、未払い金額を回収しやすくなります。また、社労士のサポートを受けることで、正確で迅速な手続きが可能となり、従業員の負担を軽減できます。
4. まとめと従業員が取るべき行動
会社が破産した場合の賃金未払い問題は多くの従業員にとって大きな不安要素ですが、適切な手続きを踏むことで未払い分の賃金を回収できる可能性が高まります。未払い賃金の立替払制度や賃金債権の優先順位について理解し、早めに行動することが重要です。必要な手続きを把握し、社労士などの専門家に相談することで、法的に保障されている権利を最大限に活かすことができます。
5. 社会保険労務士に相談するメリットとお問い合わせ
破産手続きや未払い賃金の回収手続きは複雑で、専門知識が求められる場面が多くあります。社会保険労務士に相談することで、迅速かつ正確なアドバイスを受けることが可能です。破産時の賃金確保や手続き上のトラブルを防ぐためにも、社労士への相談を積極的に活用し、安心して手続きを進めましょう。