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作成日:2024/10/22
正社員、待遇下げ「平等」の衝撃 非正規との格差是正 最高裁が手当減額容認(日本経済新聞)

この記事では、非正規社員と正規社員の待遇格差是正に関する日本の司法判断について述べられています。2024年7月に最高裁が、正社員の手当を減額することで非正規社員との格差を是正する手法を容認する決定を出し、東京地裁も同様の判決を5月に出しました。この決定は、正規社員にとっては待遇が下がる一方、非正規社員との不平等をなくす方向に進む重要な転換点となっています。

具体的な事例として、済生会山口総合病院が2020年に就業規則を改正し、正規従業員の扶養手当や住宅手当を削減して非正規従業員にも支給できる形に変更したことが取り上げられています。この結果、正規社員の一部は手当が減額され、9人が山口地裁に訴訟を起こしましたが、裁判所は「合理的な不利益変更」として病院側の主張を認めました。

このような判決が続くことで、企業は非正規社員の待遇を改善するために正規社員の手当を削減する動きを進める可能性があります。しかし、記事はそのような手法が安易に採用されると、賃金引き上げが妨げられ、人材流出を招く懸念も示しています。

また、厚生労働省は非正規社員の待遇向上を目指して指導を行っており、全体的な賃上げに繋がるような取り組みを今後も続けるとしていますが、企業が正規社員の手当を減額することでコスト削減を図る動きが出ていることに対しても注意が必要だとされています。企業は紛争を回避するためにも、従業員と十分な話し合いを持つことが求められます。

総じて、この動きは、正規・非正規間の待遇格差の是正という目的の一方で、多くの労働者にとって新たな課題となり、労働環境全体に大きな影響を与える可能性があることを示唆しています。

日本経済新聞 2024年10月21日